モバイル×ステーブルコイン本命『Celo』の仕組み

a16z、LinkedIn創業者のReid Hoffman、Twitter創業者のJack Dorsey、 本田圭佑も出資するCeloですが、今回は全貌がみえるように解説していきます。Celoのメインネットローンチは、2020年の前半を予定しています。

目次

  • 概要
  • 軽量のID
  • 価格安定メカニズム
  • ガバナンス
  • トークン配布について
  • グラント
  • 結論

概要

Celoは、スマートフォンを持っている人が友人にお金を送り、店に支払うことを簡単にすることを目指したプロジェクトです。フルスタックで開発をしていて、ブロックチェーンのレイヤーからユーザに近いレイヤーまで準備する包括的なアプローチです。話を聞いている感じでは、ローンチしてフィードバックを受けてコアチームはどこかのスタック(領域)に開発を絞るかもしれないという方針です。

暗号通貨の課題である、

  • 安定した価格の資産(ボラティリティの軽減)
  • 16進数のアドレスを入力することなく、テキストを送信するくらい簡単な送金UX

がCeloの目指すところです。

元々ホワイトペーパーではEthereumのフォークでかつPoSにしたプラットフォームとしかありませんでしたが、PBFTライクなコンセンサス・アルゴリズムで、Dfinity同様スケーリングのためにAggregated BLS署名を使う可能性があります。

画像: as a fork of Ethereum(ホワイトペーパーより)

EthereumのGasがETHで支払われるのに対して、Celoでは Celo Gold(cGLD)というネイティブトークンで支払われます。しかしユーザは必ずcGLDを持っていないといけないわけではなく、ユーザの送るステーブルコインで支払うことができ、システム側で自動で変換されるという仕組みになる予定です。
このエコシステムの中心であるステーブルコイン(例えばcUSD)は、EtherereumでいうところのERC20の規格準拠で実装されます。

※ガバナンス投票により、cGLDは、現在「CELO」という名前に変更になっています

特徴

Celoは大きくわけて以下3つの要素があります。

  1. ユーザーエクスペリエンスを向上させる「軽量」なID
  2. ステーブルコインの価格安定メカニズム
  3. プラットフォームを持続可能にするためのインセンティブとガバナンス

この各項目、特徴と仕組みについてみていきます。
※また前提として、このプロジェクトはモバイルの利用を重視しています。

1.軽量のアイデンティティ

これまでの暗号通貨では、交換するには、ウォレットをダウンロードし、公開/秘密キーペアを生成し、送信者に対して、桁の多いアドレス(公開キーから生成)を共有する必要があります。
Celoは、電話番号だけで価値を送信できるようにすることで上記のプロセスを簡単にすることを目指しています。またCeloネットワークにまだ登録していない場合は(つまり、電話番号を所有していることをまだ証明していない場合)、確認されるまで暗号通貨がプロトコルによって保持されます。

1.1. アドレスベースの暗号化

Celoは、通称「アドレスベースの暗号化」で、携帯電話での支払いをします。アドレスベースの暗号化は、電話番号をCeloアドレス(Ethereumアドレスと同様)に結び付けるため、支払いの開始時にアドレスの代わりに電話番号を使用できるため、ユーザーエクスペリエンスが簡素化されます。プライバシーを保護するために、電話番号自体ではなく、電話番号のハッシュがブロックチェーンに保存されます。

電話番号がCeloアドレスに添付されると、検証が行われます。概要は以下のような流れです。

  1. ユーザーが電話番号を公開Celoアドレスに添付する要求を送信します。
  2. Celoのネットワークがリクエストを受信すると、テキストメッセージ形式の3つの安全なメッセージが電話番号に送信されます。
  3. ユーザーは署名された安全なメッセージをネットワークにブロードキャストし、電話番号の所有権を証明します。
  4. ネットワークがすべての署名済みメッセージを受信すると、検証は成功したと見なされ、ブロックチェーンで電話番号が検証済みとしてマークされます。

ユーザ電話番号を変更した場合は、元のアドレスに新しい電話番号を追加して自分自身を再確認できるため、複数の電話番号を単一のパブリックCeloアドレスに関連付けることができます。つまりユーザーは、いつでも電話番号に関連付けられているアドレスを消したり変更したりすることができます。

※電話番号だけでなく、安全なメッセージを受信できる任意の識別子で機能する手法でもあります。

1.2 レピュテーション(評判)

電話番号をCeloアドレスに追加すると、評判(クレジットスコアなど)を取得できます。 CeloはEigenTrustを使用してこの評判を測定します。アカウントの重要度をつけるためにNEMも利用している分散アルゴリズムで、Google のページランクの仕様に似ています。
ある電話番号のスコアは、評判スコアで重み付けされた他の電話の数で定義されます。

2. 価格安定のメカニズム

Celoでは、ドルだけでなく、ユーロ、消費財のバスケット、石油1バレルの価格などの測定可能な値にペグするステーブルコインを作ることができます。各Celoステーブルコインは、需要に合わせて供給を調整することでペグを維持しますが、別のステーブルコインも準備金として機能し、ボラティリティリスクを吸収するように機能します。以下で見ていきましょう。

2.1 価格安定の実現方法

Celo Gold(cGLD)の供給は上限があります。 cGLDの一部はローンチ時にアクティブになり、残りは時間の経過とともに発行(ミント)されます。

cGLDローンチ時の供給のうち大部分は準備金に割り当てられる予定です。準備金の内訳は50%がcGLDのままで、その他50%は暗号資産(BTCやETHなど)をcGLDで購入され、そのBTCやETHが準備金として使用される予定です。将来的には、トークン化された他の資産も含まれる可能性があります。

ステーブルコインが1種類のみの場合、実際にどのように価格を安定させるかと見ていきます(この場合は他のプロジェクトとほぼ同様です)。

cUSDの価格がペグ価格(1USD)を上回っている場合、利用可能な供給よりも多くの需要があることを意味します。そのような場合、プロトコルは新しいcUSDを発行し、CP-DOTOと呼ばれるUniswapのようなDEXを介してcGLDに売りcUSDの供給を増やします。

同様に、cUSDの価格がペグを下回っている場合、利用可能な供給よりも需要が少ないことを意味します。そのような場合、プロトコルはCP-DOTO(UniswapのようなDEX)を介して、cGLDを利用して市場からcUSDを購入し、プロトコルがそのcUSDを破棄することで、供給を減らします。

Celo Goldの長期保有を促進して準備金が健全な状態を維持するために、Celo Gold取引には変動する手数料があり、準備金を増やします。レートはリザーブ率に基づいています。これは、各ステーブルコインがそれぞれのリザーブ率を持ちます。

リザーブ率が低いほど、トランザクション手数料が高くなります。また、リザーブ率が目標レベルを下回っている場合、ネットワークによって作成されたブロック報酬のかなりの部分がリザーブに割り当てられ、リザーブを増やします。

Basisはシャットダウンしましたが、BasisとMakerのハイブリッドと彼らは主張しています。

2.2 他のステーブルコインを使った効率的な価格安定

1種類ではなく複数種類のステーブルコインがある場合、プロトコルは、リザーブを使う前にステーブルコイン間で取引することによって供給を調整するようにより効率的に設計されています。

たとえば、Celo USD(cUSD)の需要が増加し、cUSDが1.1ドルになり、Celo EUR(cEUR)の需要が減少し、cERUが0.9EURになった場合、プロトコルはcUSDを作成し、それを使ってcEURを市場レートで購入します。取得したcEURはプロトコルによって破棄されます。

このようなメカニズムにより、Celoのステークホルダーは、個々のステーブルコインというよりは、Celo全体の使用を拡大するインセンティブが与えられます。たとえば、cEURを導入するとcUSDの需要が減少する可能性がありますが、cEURとcUSDの合計需要が増加する限り、エコシステム全体は成長します。

2.3 持続可能性のために

プラットフォームの持続可能性を確保するために、新しいステーブルコインが導入される際は、ガバナンスプロセスを経る必要があります。

他のトークンの安定性にマイナスの影響を与えるような新しい資産を避けるために(例えば:ボラティリティが高い場合など)、PoSで投票することにしています。新しいステーブルコインがCeloエコシステムを成長および/または安定させると考える場合にのみ、Celo Gold保有者が賛成票を投じることを狙っています。

※すべてのステーブルコインが同じリザーブを共有する必要はありません。新しいステーブルトークンを作成し、その資産の個別にリザーブを作ることができます。たとえば、地域の通貨を準備通貨として、一部が住民に分配されるという使い方もできます。

3. インセンティブとガバナンス

Celoのガバナンス構造は、長期的な安定性を確保するための行動を促すように設計されています。

proof-of-bonded-stake モデルと名付けられていますが、簡単にいってしまえばステーク期間が考慮されたPoSで、Celo Goldのボンドされた量(ステークのことをボンドとしています)とボンドされた期間に応じて報酬を重み付けすることにより、Celo Goldの長期保有が促進されます。

またガバナンスはオンチェーンガバナンスです。少額の提出手数料で、誰でも改善を提案できます。そしてCelo Gold の保有者によって投票されます。

上で少し書きましたが、新しいステーブルコインまたは新しい暗号資産をリザーブに導入する提案は、このプロセスに従います。ただこの場合は、提案手数料を支払う代わりに、提案者はCelo Goldを出資する必要があります。

※共有のリザーブで担保されず、独自の準備通貨を持つ新しいステーブルコインの提案に関しては、既存のCelo Gold保有者が提案を弾くことのないよう、ガバナンスプロセスを経る必要はありません。

トークン配布について

cGLDが重要な要素で、チームとしてはできる限り幅広く多くの人に分配したいと考えているようですが、まだ配布に関しては明らかになっていません。今後何かしらのアナウンスがあるようそうです。cGLDのインフレレート、ステーク報酬などもまだ明らかになっていません。ステーキングにおいてスラッシュ(没収)は今のところない予定です。

グラント

Celo財団が、Celo上で何か作る人に対してFellowshipを用意しているのと、Polychain Ecosystem fundもCelo上での開発する起業家に金銭的支援をしています。

結論

Celoは、UX重視のモバイルファーストなプロトコルです。また地域通貨とか地域配当とか資源担保の通貨など新しいタイプのカタチが出てきそうです。
ちなみにSan Francisco で知り合った友人が 夏にCeloへ転職し、アルゼンチンでエンジニアとして働いているのですが、相当ハードワークしていると聞きました。

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